ラ・ルナ 2016 / ブリュノ・ディシェン
【La Luna 2016 / Bruno Duchein】
 
 
刺すように照りつける灼熱の太陽と眼下に広がる青い海。
「太陽のあるところに住みたかったんだ、海は見えるし最高だよ。」
トラクターも入ることができず、馬での耕作も難しいような急な斜面の上に、彼のぶどう畑はあります。
 
 
彼の名は、ブリュノ・ディシェン。
彼の住む南仏の町バニュルス。スペイン国境にほど近いこの地は、豊富な日照量に恵まれた地中海気候で、必然的にぶどうは完熟し糖度が高くなることから、フランスを代表する天然甘口ワインの産地として知られています。
 
 
この地でワイン造りをする生産者は皆言います。「仕事は過酷、眺望は最高。」
しかし、当のブリュノはそんなことを微塵も感じさせません。
それどころか、敢えてこの過酷な地を選び、さらに周りの反対もものともせず、もっとも険しいであろう場所でぶどう栽培をする彼は、それはもう常人の域を超えています。周りに言わせれば、普段の彼の性格はまさに破天荒そのものだとか。
 
 
だからこそ、彼のワインを飲んだら驚きますよ。
そのあまりにも繊細で洗練された、暑苦しさや野暮ったさのないその味わいに。
 
 
ワインや仕事に向き合う姿勢は、人一倍緻密で真面目一徹。
破天荒な性格はそのストイックすぎる仕事の反動ではないかと思えるほどです。
 
 
彼のワインを飲むと、造り手の人柄がワインに及ぼす影響がいかに大きいかを感じさせられます。
 
 
だから、どこかで見かけたら彼の人柄に触れてみて。
きっと好きになりますよ。

大石 寿也 渋谷桜丘のレストランCUJORL / ワインブティックBouteilleのディレクター。 毎日レストランのフロアに立ちつつ、ワインを通したコミニケーションや人の繋がりを求め、様々な企画やイベントを提案しています。 – CUJORL – Bouteille

●コーナー名『Wine makes woman woman』
”ワインは女性を美しくする”